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Eltern

2017.07.21 (Fri)

今から15年前。最愛の両親が、僕をこの世に誕生させてくれた。

父、ルーカス・エルンスト。
母、アガーテ・ソレイユ。
巷でも、愛し合っている夫婦として有名だったと聞く。
一人娘で両親からの愛情を注いでもらっていた僕も、二人が喧嘩する姿を見たことはない。
唯一、母が父に向かって怒った姿を見せたのはあの時限りか。

興味を持って飲んだコーヒーの苦さに涙を浮かべてしまった日の事だ。

言い出せなかった『自分が悪い』の一言。時間が経ってからだと、怖くて言い出せなかった。
怒られる父は『いいんだ』と、怯える僕に優しく小声で言い、庇ってくれて。
母が父を怒る時間は2,3時間にも及んでいた。


「……あの時悪かったのは僕の方なんだよ、母上」


悔やむような声で、立派に綺麗に咲き誇るアヤメの花に水を与える。
謝れなかった後悔。父も母も大好きだった花へ、代わりに詫びるように。


父と母は、結婚前から愛する自分達の子供を多く欲しいと言った夢があった。
息子、娘と性別問わずに。
それでいて平等に愛情を注ぎ、素晴らしい家庭を築いていきたいと。
互いに強く持っていた、美しい夢だった。


けれど、当時の身分の違いを周囲が認めなかった。

父は貴族生まれ、母は平民生まれ。
父が仕事の取引で選んだ喫茶店で、店員として働いていた母を偶然見かけて惹かれたと聞く。
母は当時、父の『身分は関係ない』という性格に惹かれたらしい。

仕事を理由に、父も喫茶店を何度も訪れたとか。


後に恋人関係となり、母を屋敷に迎えたところで反対意見が多数出たらしい。
────貴族は貴族同士の婚約、平民は平民同士の婚約を。

父が周囲を説得し続けるも納得を得ることは難しく、夫婦として結ばれるまでの時間は長かった。




両親の結婚が認められるのに、10年かかった。

テーマ : 自作連載小説 - ジャンル : 小説・文学

18:00  |  小説  |  Trackback(0)  |  Comment(0)

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